自分にとって必要不可欠な情報だけを収集する

現代版士農工商

 江戸時代まで、さらに太平洋戦争が終わるまで身分制度は色濃く残っていました。現在はもちろんそうした身分差別はないと言われていますが、実際はどうでしょうか。

 会社の中でも社長を筆頭に末端社員まで厳格な身分の違いがあります。子供たちも何十人と集まれば嫌が上にも発言力のあるものとそうでないものに分かれたり、ひどい場合には強いものが弱い者をいいように扱っている現状もれっきとしてあるのです。

 みんな平等でありたいと願いながら、現実世界ではそうなっていないことを、私たちは直視しなければならないと思います。

 士農工商という言葉を学生時代に覚えました。武士が支配する江戸時代まで、過酷な身分制が敷かれていたことを端的に表す、異様に重たい言葉です。

 現在では農業を大学の研究所と連携し、品質の良い強い作物を科学的なアプローチで作っている業態もあり、その他のビジネスなどと優劣を云々する次元のことではなくなっています。

 ですから現代版士農工商とは、むしろ、「一部小数の情報強者と、その他大多数の情報弱者」のヒエラルキーであると言えるかもしれません。

 知っているものは強者として君臨し、知らないものを大勢作って、自分たちの都合のいいように利用しているのです。

 ルールを作る側の者、何も知らずにそのルールを守らされ利用される者ともいえるでしょう。

氾濫する情報から必要なものだけを得る

 芸能人の名前やゴシップをたくさん知っていれば、情報強者なのでしょうか。

 先に述べました双曲割引を思い出してください。手に入れるために時間がかかるより価値の高いことよりも、それほど価値のないことだが今楽しいことをいつも優先してしまう人はどうなっていくでしょう。決してルールメーカーの側に立つことはできないと思います。誰かが作った世界の中で、利用されながら生きて行くことになります。

 とはいっても、あまりにも多くの情報が氾濫している状況ですから、何をどう手をつけていいか迷ってしまいます。だからこそ真に価値のあるモノを見極める力を得るために勉強しているのではないでしょうか。勉強して多くのことを知り、考える訓練を続ければ、自然に分かってくるのではないでしょうか。自分に必要なものは何なのか、ということを。

 やはりより価値の高いモノ、この場合自分にとって最も有益な情報を手に入れるために、学び、勉強していかなくてはなりません。

なるべく早い段階で将来像を想像してみる

 小学生から見ている現在中学2年生の男子生徒は、大変引っ込み思案です。しかし真面目で一つのことに集中することに優れている子です。大学受験はまだ先の話ですが、その子もご両親も、漠然とですが進路についてすでにある程度の青写真を作っておられます。

 どちらかと言えば文系が得意なのですが、理系に進む。研究職が向いているような気がする。そう漠然とした中にも迷いのない考えをおっしゃるのです。理由は性格的に、ノルマに追い立てられるような企業のタイプではなく、研究職のように、自分のペースで集中力を生かせる職種がいい気がするから、ということです。

 大変感心し、こんな環境にいるその生徒は幸せだと思いました。迷いは勿論あるでしょう。しかしその振れ幅が小さければ、余裕を持って様々な判断ができるはずです。必要な情報は大幅に絞られるからです。「理系」「研究」。おおよそその分野からの情報を、なるべく多く吸収すればよいのです。 自分に必要な情報は徹底的に収集し、関係のない情報にはなるべく接しないようにすれば、迷いなく進めるでしょう。

 いつも立ち寄る帰宅途中のコンビニで買った漫画や雑誌が部屋の中にあふれかえっている人がいると思います。その場限りの娯楽しか提供しない本や雑誌に囲まれていても、自分が本当に必要としている情報などただの一つも手に入れることはできません。すぐにでもその状況から脱却すべきです。

 次回は勉強部屋を最適化する方法についてお話します。漫画や雑誌であふれかえっている人は特に要注意です。ぜひご覧になってください。