夢の続き

アブラスから紹介して頂いたのはちょうど3年前。まだ彼が小学3年生の頃でした。
依頼内容は学校の内容の定着を図って、出来るものなら中学受験に繋げて欲しいとの事でした。
ハイレベルな中学受験塾の入塾テストになかなか合格出来ず、確かに国語の読解も上手く進まない状況でした。

学校レベルから入塾テストに対応するため、低学年用の自由自在と、最高レベル問題集を使いながら、同一単元を基礎から応用へと垂直に深化するように指導しました。
特に国語は短めの文章を音読させ、ただ単に問題を解くことよりも、物語なら場面や心情の移り変わり、説明文なら段落ごとの要点を語り合いながら、模範解答に近い所まで記述出来るように工夫しました。

2か月後に入塾テストに合格し、判定クラスより一つ下のクラスより通塾が始まりました。
順調に復習テストの成績が上がり、夏期講習前には上のクラスに上がりました。
ところが急激に宿題が増えた事、通塾のストレスが溜まり出した事、ご両親の期待が大きかった事などが重なり、徐々に彼の心身を蝕んで行きました。
学校を休みだし、塾の宿題やテストのやり直しに苦痛になり、10月に入ると塾も学校も行けなくなりました。同時にお母様も心労で寝込まれてしまいました。

何をすべきかを熟慮したところ、まず本人とお母様の想いを聞いてみようと、指導時間を1時間にしてその時間をまるまるカウンセリングにあてました。本人と話したり、学校の宿題を見たり、お母様のお話を聞くこと1ヶ月半。
12月中頃から1時間半学校の勉強を見て、1月から塾のテキストを避けて自由自在を使って少しずつリハビリをして行きました。
4月になるとお母様も安定してきて、ご主人からの勧めで塾のWeb講義の受講を始めました。
5月から塾のテキストを使って指導を行い、本人と十分に話し合った上で夏期講習だけ受講しました。宿題は全部やらなくていい、出来るところだけすればいい、講義の板書きも全て打たさなくてもよいとの条件付きでした。
塾に通うストレスもなくなったのを見計らって、9月から一年ぶりに通常授業に復帰しました。

当初は緊張とトラウマのゆり戻しから、なかなか寝付けなかったり、アレルギーで悩まされたりしましたが、少しずつ状況が改善するにつれて成績が伸びだし、6年生の夏期講習には一番下のクラスから元の上から2番目のクラスに戻りました。
ここからも彼の状況を慎重に見ながら指導を行い、何とか入試までたどり着く事が出来ました。
結果は最難関校には不合格でしたが、清風中理Ⅲに合格する事が出来ました。

彼にはお父様と同じ研究者になる夢があります。
中学高校としっかりと学んで、夢の実現をして欲しいと念願しています。
今まで苦しんだ事はこれから必ず活かされていく事を信じて。