希望を捨てない

2年前は様々なケースの生徒さんを指導させて頂きました。
そのうちの1つですが、9月から久々に浪人生の指導を受けました。国立大か同志社・立命館文系志望の2浪の方です。企業への就職を考えると、年齢制限ギリギリなのでもう後がなく、本人もかなり焦っていました。

センター数学対策ですが、一からすると全く間に合わないので、数学Bのベクトルを教科書の例題マスターから始めて行きました。

高校2年生で習ったきりで殆ど学習出来てない状態なので、問題解説の意図を読み込む事や、解いて行く過程を大切にする事など、彼にとってはかなり新鮮なようだったので、毎回興味深く取り組んでいました。

結果的なセンター試験で半分しか取れなかったようですが、勉強を一生懸命することでの達成感を味わい、文系科目の学習に活かしたようでした(合格後の本人談)

第2志望の同志社法には届かなかったですが、立命館政策科学に合格でき、ご家族共々喜びのご報告を頂きました。

今までどこにも合格しなかったので、私としては望みが高いかな?と感じておりましたが、ともすれば心が折れそうになりながらも、最後まで希望を捨てずに、執念をもって頑張り通す素晴らしさを、改めて彼から教えて頂きました。

大阪の大手進学塾の一番上のクラスに在籍していましたが、公開テストの成績の波が大きく、調子の良い時はベスト50に入るのですが、算数で失敗するとクラス降格になるなど、成績の一定しない状態が続いていました。

 一時、ご家庭は志望校を下げる事も検討されましたが、3年生から通塾している事を考え、ギリギリまで志望校を変えずに頑張らせることを考えました。

 そこで苦手な単元の多い算数は、苦手単元については中学への算数から頻出パターンの演習を、得意単元は最難関レベルの入試問題から演習し、苦手単元の克服と得意単元の伸長を同時並行しました。
一方、余り得意でない理科は、特進クラスの理科、応用自在を使用して、基本法則、原理の理解を図り、特に化学計算(燃焼、中和)、力学(浮力、組み合わせ滑車、輪軸)は例題→基本パターン→応用問題の演習とスパイラル的に指導を行いました。

 約4ヶ月という短期間でしたが、毎回の指導で添削を続けるごとにモチベーションが上がって行き、帝塚山中学英数、四天王寺中学と合格しました。

女の子の指導の場合、なかなか難しい事もありましたが、本人の話を否定せずに聞き、どういう方法なら本人が頑張りやすいかを探りだし、最後まであきらめないように配慮した事が合格につながったと思います。

塾には行かず家庭教師だけで受験勉強を続けていましたが、五木テストで数学以外は平均少し上程度で、数学と理科の物理分野以外は余り勉強が進んでいない状態でした。

 改めて10月中旬から他社の家庭教師が英語、国語、社会を、私が数学、理科を担当することになりましたが、その家庭教師の指導と進路指導にご家庭が疑問を持たれ、結局12月から英語も担当することになりました。

 受験間近のゴタゴタした中、本人は一時的に志望校を下げて公立高校を模索し始めましたが、志望校合格を目指して頑張らせる事にご両親も協力的になって頂きました。

 そこで国語は英俊社の近畿の入試問題(標準と発展の一部)、社会は新中学問題集を演習してご両親に管理して頂き、数学は関数と図形の融合問題、立体図形、理科は化学計算と実験観察に関する問題、英語は文法と長文を並行して指導しました(使用テキストは近畿の入試問題)。

 年末年始にインフルエンザにかかって一時的にモチベーションが下がる事もありましたが、悲観的にとらえさせずに体力が回復したら精一杯頑張ろうと、不安な気持ちに負けないように励ましました。

 滑り止めに受験した帝塚山高校に合格した勢いで、五分五分と見られた同志社国際高校にも合格しました。

 彼の喜びの声とご両親の弾む声を聞き、改めて最後まで希望を捨てない大切さを学んだような気がしました。