中学受験突破のために留意すべき5つのこと

合格をつかむために必要な要素を明確に知っておくと、無駄のない、無理のない、心身ともに健全な学習を進めることができます。
■その一:集中力
ある一定の時間内に、目の前の課題に取り組む気力がどれほどあるかを知る必要があります。問題を読んだり、解いたりするとき、すぐ別のことに気持ちが向かってしまったり、机を離れ別のことははじめたり、していませんか。集中力の差異は、子供によって大きく違います。集中力について考察してみましょう。

集中力がすぐきれる場合:
無理に学習させようとせず、まずは学習環境を整えることを考えましょう。家庭で学習するのがよいか、外へ出して、塾を試してみるのがよいのか。塾なら集団授業をするのがよいのか、マンツーマンがいいのか。など、すぐに試してみましょう。合っている方法を採用し、しばらく様子を見ましょう。

集中力がそこそこある場合:
まずお子様の希望を聞いて、なるべく現在の学力より少し上くらいの学校を目指して学習しましょう。あまりかけ離れて難度の高い学習をさせるとやる気を失い、自信をなくし、逆効果になる恐れがあります。学習にかける時間をなるべく多くすることをお勧めします。学習時間に比例して到達度が左右されていまう傾向が、非常にあります。

集中力が非常にある場合:
塾に行かなくても相当レベルの高い学校へ合格する可能性を秘めています。しかも毎日の学習時間も2時間程度に抑えて、他に興味のある趣味や遊びの時間も十分に確保しながら自由自在に進んでいきます。集中力以外のエッセンスにもよりますが、必要最低限の学習時間の確保で、志望校合格をつかむことができます。塾へ通うと、無駄な時間や費用を費やしてしまいます。自由を奪われ、やる気を失うかもしれません。学習に必要なテキストなどは、必ず入手できます。

集中力について考察してみましたが、もちろんこれだけでいいわけではありません。あくまでも一つの要素として必ず必要なことです。私たち専門プロにお問い合わせくだされば、何らかのヒントを手にすることができるはずです。
■その二:学習習慣
毎日コンスタントに学習できているかチェックしましょう。学習習慣がついているかどうかが、志望校合格を大きく左右させます。

習慣づいていない場合:例えば算数であれば、まずはそれほど負担の少ない「計算問題」だけを、毎日のある時刻になれば必ず実行するようにさせましょう。正答率はこの際問いません。毎日するかしないかが問題です。

学習する期間がとぎれとぎれ:上記に加え、教材の例題レベルだけは必ずするなど。とにかく負担に感じさせない程度の内容と分量を毎日させます。また、調子に乗った時は何時間でもできるが、しなくなると何日もしなくなるといったお子様のケースでは、「時間になると問題が途中でもやめさせる」のが効果的。また「問題をわざと途中で終える」のも効果的。次回に取り掛かる際に、すんなりと入っていけるからです。

学習習慣が十分についている:継続は力なり。必ずよい結果が出ます。「勉強はつらいことも多いけど、それに見合った大きな喜びを得ることができるもの」という自覚が芽を出していることでしょう。受験に合格するとか、しないとかを超えた、次元の異なる領域に達しています。学業を終え、社会へ出た後でも大いなる自信と力を手にすることができるでしょう。

中学受験をする目的を長い目で見た場合、それは「自分で考え、解決したり、決断したりできる力を手に入れるため」と言えるのではないでしょうか。そのための受験勉強です。そして合格を見事勝ち得た後でもそれは継続するのです。
■その三:好奇心
勉強を楽しいと感じる子供はそう多くいません。その大部分は本当なら遊んで過ごしていたいはずです。結果がすぐに出るゲームや、見ているだけで笑いというカタルシスを得ることが可能なバラエティ番組に夢中になる。アニメやコミックなども同様です。
中学受験をクリアするために必要な学習内容は、相当深く難解な内容を含み、そう簡単にマスターできるものではありません。基本、ストレスなしには進めることのできない大きなプロジェクトなのです。そのつらくて難しい取り組みの大きな助けとなり、時には大きな喜びを生み出す原動力となるのが、「知的好奇心」です。

知的好奇心があまりない:苦労してまで抽象的な概念に気持ちを向けることはしたくない。そういう場合、よく取られる手段は、「ご褒美で釣る」があります。何が何でも私立中学へ入学させたいのであれば、時には仕方ないと割り切りましょう。しかし、結果的に副作用として、ご褒美がなければ勉強しない子になってしまう心配はあります。一度味をしめると、なかなかそこから脱出するのは困難になるでしょう。しかし現にそういった方法で中学受験も、そして難関大学受験もクリアした例は多くあります。
一方で、強制力を発揮して、無理にでも学習をさせる例もあります。子どもの身の回りをきれいに整理し、つまりおもちゃやゲーム、テレビなどを取り上げ、勉強するしかない環境を整える方法です。ほとんど見かけませんが、そういった思い切った手段をとるご家庭もあるのは事実です。娯楽があふれかえっている現代では、娯楽をゼロにとは言わなくても、極力減らしてあげることも子供を取り巻く大人の責任といえるかもしれません。

分野によって知的好奇心がある:例えば漢字が大好きで、どんどん覚える子供はときどき見かけますし、科学に興味を示す子もいます。ぜひその分野を掘り下げて学習させましょう。興味のない分野についてははじめのうちは何のアクションも取らないかもしれませんが、得意な科目が、他の科目に良い影響を及ぼす例はたくさんあります。

知的好奇心にあふれている:学習を経て、新たな知識や技術を得ることに大きな喜びを感じることのできる子どもです。際限なく知りたい欲求にかられ、学習を続けることができます。自発的に予習や復習をするようになると、あとはよい教材、よい指導者に恵まれれば、ごく短期間で結果を出すことでしょう。中学受験を合格するといった次元を超えて、将来大人になり社会活動を始めた後でもその力は消えることがないでしょう。のびのびと楽しく学習させてあげてください。

難関中学を目指すなら、周囲の大人が、大人に接するように子どもに語りかけ、教材を与え、指導することが必要です。相手が子供だから、こんな言い方は難しくてどうせ分からないだろうから、というふうに接していると、そのレベルでとどまってしまいます。ボキャブラリも増えませんし、思考方法も幼稚なままになってしまいます。生活レベルで学習環境を整える必要があるのです。
■その四:欲求のコントロール
身の回りにあるさまざまな娯楽に現代の子供は相当振り回されている様子です。うまくコントロールしないと我慢が出来ない子どもになってしまい、勉学に大きな支障をきたすことにになりかねません。

コントロールがほとんどきかない:ほしい物は何でも手に入れたくなる子で、しかもその通りに親が与えざるを得ないようなケースを見ることがあります。与えないと暴れたり、物を壊したり、兄弟姉妹をいじめたり手がつけられなくなっているのです。親は本心ではそんな状態を何とかしようと思い、今までも相当の苦労を重ね手を打ってきたかもしれませんが、状況は悪化の一途をたどり、そのようになっているのです。そのような場合によく目にするのは子供部屋の様子が異様な光景であることが多いことです。ほとんどの場合足の踏み場もないくらいにモノがあふれ、汚れ、ごみ屋敷までとはいかないまでも、学習の場である以前に生活の場ではなくなっているのです。まずはモノを整理し、部屋の様子を一変させることです。モノを捨てることを子どもは激しく拒否するでしょうから、捨てずに整理するのです。そしてそれを子供と一緒にすることができれば、光が見えるかもしれません。コントロールの第一歩を勇気を出して踏み出しましょう。

ご褒美があればがんばれる子:目先にご褒美があると頑張るけれど、何の見返りもないとモチベーションが大きくダウンし何もしない子供の場合。上記のようにコントロールが効かないわけではないのであれば、ご褒美作戦もいいかもしれません。多くの場合精神的に幼い子供のケースが多いと思われます。高校生でも親にべたべたと甘えずにはいられない子もいるのです。いずれ将来それは解消するかもしれません。社会に出て働き始めるころか、行動範囲が大きく増える大学入学後かいずれにしても小・中・高の間はそういった人間の特性に関わる部分に関してはあまり矯正にばかり意識しないほうがいいかもしれません。受験に合格する意義はとても大きいので清濁併せのむくらいの気持ちで接するのもありだと思います。
■その五:感情のコントロール
受験勉強を進めるにあたって大きな味方にもなり得、また大きな障害となり得るのが感情のコントロールです。受験生とは言え、まだまだ人間的成長途上にある精神的に未熟な時期ですから、子供によって大きな違いがあります。しかし感情をコントロールできてこそ効率のよい学習ができるのは間違いありません。

コントロールがほとんどきかない:非常に細かな心配りが必要です。同じ学習内容を説明しようとしても、「わからない」が「怒り」に直結するといったような傾向がみられる場合、指導者の声のトーン、言葉づかい、話すタイミングなどに細心の注意を払い、なるべく怒りの感情を呼び起こさせないようにしなければなりません。一度怒りに火がつくとほとんどの場合、授業は成立しません。そんな時は一度思い切って授業を中断し、他のことに注意を向けさせ、感情が収まるのを見計らって、学習に向かわせるように言葉をかけてみましょう。

芽がある(時期を乗り越える):小学5年生で受験勉強をスタートしたケースの、とある女子生徒は、指導開始後数カ月の間、学校の学習内容と、中学受験の学習内容とのあまりの難度と分量の差にほとんど拒否反応ともいえる状況にあり、どのようになだめすかしても「怒りの感情」を抑えることができず、苦しんでいました。しかし、指導者(プロ家庭教師)の目は見抜いていました。何らかのテストで良い点が取れれば「嬉しさ」をあらわすことができる生徒であるはずだ、と。実際標準レベルのテスト対策をしっかり行ったところ嬉しさを表現するようになり、両親や兄弟にそのことを嬉しそうに報告するようになり、少々の壁ならぐっとこらえて登れるようになっていったのです。

感情的にほとんどならない:ミスはミスとして冷静にとらえ、反省ができます。そしてほとんどの場合その後同じ過ちを繰り返すことはありません。感情が邪魔をしないので、何が原因で間違えたのか分析ができ、そして間違えに至るまでの経緯を反芻し次に生かすことができるからです。とはいっても、小学生のほとんどはやはり未熟なのが当たり前です。このようないつも平静にいられる人間は大人でもそうは見かけませんよね。ですからなるべく「落ち着いて学習する重要さ」を普段から語って聞かせて、その境地を目指していくべきです。